開封後要冷蔵ではありません
~お茶は乾物~

お茶の保存方法のことは随分前にも一度綴りました。
「お茶の保存中に起こる変質の要因は
温度・湿度・酸素・紫外線」
「未開封のうちは冷蔵庫に入れてもよい。
冷蔵庫から未開封の袋を出したら
半日は常温の空間に置いて室温に戻しその後開封する」
「袋を一度でも開封したらなるべく空気を抜いて密封し
光や湿気を遮断する容器や袋に入れて冷暗所に置く」
「大きな単位で残っている場合は
小分けにできる缶などに入れ残りは袋に置くのもよし」
我ながら、優等生なことを申していたなぁと振り返ります。

今、お客様応対を僅かでも経験して思うことは、
冷蔵保存や、人によっては冷凍保存が
相応しいと考えている人が少なくないということ。
おそらく「開封後は要冷蔵」という
よくあるメッセージが要因かと。
瓶詰めの保存食などの多くの食品は確かにそうですが
お茶はむしろ逆です。

「開封までは冷蔵も可能。開封後は常温保存」
これがお茶の場合の保存の鉄則。なぜか。
お茶は乾物だからです。

お茶の変質を起こす四要素

お茶の変質要因は四つ。温度・湿度・酸素・紫外線です。
緑茶やほうじ茶を保存する際は
湿度・酸素と紫外線は皆無が良いです。
温度も低ければ良いのでは?と思いがちですが・・・
ちょっと待った!
「温度が高いと変化が速まる」
「温度が低いと茶葉に変化が起こりにくい」
とだけ認識してください。
やむを得ず茶葉を長期保存せざるを得ない場合
もしも開封前でしたら、冷蔵保存も可能です。
しかし、一度でも袋を開封したら
再び冷蔵庫に入れることはお勧めできません。

開封後冷蔵保存をお勧めしない理由

理由は二つあります。

袋にジップがついていない場合でクリップ止めすると
冷蔵庫臭が茶葉に移ることを防げません。
またジップがあっても、見たところきっちり封がされていても
やはり、どこかしらに見えない空気の通り道があります。
そこから少しずつ少しずつ空気が入り込み
長期的には酸化し、劣化の要因となります。


冷蔵庫から物を出すと
温度と湿度の変化により結露が起こります。
この結露は、中に入っていたお茶の変質を速めます。
飲むたびに冷蔵庫から出し入れし結露を起こさせ続ければ
その度に変質=劣化を速めてしまいます。

もう一点。これは趣味程度にお読み頂ければと思います。
自宅の冷蔵庫で保存された茶葉は
なぜかバランスを欠いた品質となっている場合があります。
うま味だけ減り渋苦味は残っているとか
いい渋みが減りうま味だけ残ってしまうことで
逆に美味しさを損なっていたり。
この辺りはまだまだ解明されていないことが多く
私たちも官能検査によっているため断定できませんが
茶葉という乾物に対して
家庭用冷蔵庫での冷蔵保存は
そもそも不自然な保存法ではないかと感じています。
ちなみに茶葉専用冷蔵庫は家庭用冷蔵庫と温度設定が異なる等の理由より
このような問題は起こりません。 (余談でした)

お茶の保存法

話戻って、未開封の袋を冷蔵保存していた場合も
結露を防いで開封しなければ台無しです。
冷蔵庫から出して半日以上は室温に静置し
それから封を切ってください。

そして開封後は常温、室温に。
保存のために茶筒をお持ちの方も多いと思います。
錫や銅の茶筒は特に密封性が高く
茶葉の保存には優れものですが
どんなに高品質でもその中に幾ばくか空気は有ります。
そのため長期間保存すると、やはり酸化が起こり
劣化に繋がります。

茶筒がお茶の使用量や使用頻度に比して
大きすぎる場合も考えものです。
大きい茶筒に入れるとそれを使いきるまでの日数がかかり
蓋を開け閉めするたびに茶葉が空気に触れます。
繰り返しになりますが、空気に触れると劣化が早まります。
茶筒は、10日程度で使いきれる茶葉を入れて八分目程度になる大きさの物がお勧めです。
ご参考まで。

そし茶筒に入りきらなかった残りの茶葉は
もともと茶葉が入っていた袋に入れたままにして
比較的涼しく湿度が低く直射日光の当たらない戸棚に
きっちりシールして置いておかれるようにお願いします。
シールの付いていない袋の場合は
袋ごとジップロックに入れることもできます。

「お茶は乾物」。頭の片隅に置いてあげてください。
皆さまのQOL-Quality of Life-が
良いものでありますように。