ラテⅡ~台湾烏龍茶・
中国緑茶・プーアール茶~

台湾烏龍茶

台湾烏龍茶(半発酵茶)のうち
文山包種、清香系烏龍茶、焙煎強めの烏龍茶や鉄観音、東方美人で実験しました。

【200ccの台湾烏龍茶ラテのレシピ】
5gの茶葉を鍋に入れ、90℃程度の湯100ccで2分程抽出。
ミルクを100cc追加して加熱。
多少ふつふつしても耐えられます。加糖はお好みで。

【台湾烏龍茶】
文山包種は、ジャスミン様の香気成分のあるお茶。

清香系烏龍茶は、フローラルとか花香と表現されますが
何の花なのか特定することが難しいと感じます。
蘭の花と言われたりもしますが
蘭の花香が際立ってぷんぷんする清香系烏龍茶に
出会ったことはありません。

焙煎強めの烏龍茶や鉄観音は、ほうじ茶に似た印象。

東方美人は重発酵のお茶。
実際紅茶に近い水色と香味をしていますが
その香気は萎凋で醸し出された香りであって
発酵による香気とは異なると感じます。花香と蜜香のお茶。
葉は大変繊細で柔らかく小さく艶めかしい。

【お勧め度】☆☆☆☆
文山包種ラテはジャスミンティーにミルクを加えたか
のようでした。

清香系烏龍茶は、フローラルな香りがしますが
何の花なのかつかみどころがないという特性が
ラテにするには功を奏しており、ミルクと融合しました。

焙煎強めの烏龍茶や鉄観音はほうじ茶と似ているだけあり
そのような香ばしいラテになりました。

東方美人は、紅茶のミルクティーのようになりました。

一定品質以上の台湾茶であれば
煮出しても渋苦味は気になりません。
台湾烏龍茶にはうま味がない(少ない)ため
クドイ味になる心配もありません。
そのため、茶葉量を増やして濃くしても良いし、
ミルク投入後に、しばらく煮出すこともできる、
逆に、茶葉量を減らす変わりに抽出時間を長くすることで
味を出すこともできます。

このように茶葉量や抽出時間に多少振れ幅があっても
許容できるお茶の場合、ラテも作りやすいとわかりました。
煮出せるので熱熱の一杯が欲しい時にも適役です。

最大の魅力はやはり、ラテにしてもなお漂う台湾烏龍茶の美しい香気を探し確認しながら味わえることでした。

プーアール茶

【200ccのプーアール茶ラテのレシピ】
5gの茶葉を鍋に入れ、90℃以上の湯100ccで2分程抽出。
ミルクを100cc追加して加熱。
神経質になるほどではないけれど
あまりふつふつしすぎない方が良いです。
加糖するかはお好みですが、熟茶の場合は
加糖するともともとある力強さに糖分が上乗せされ、相乗効果があります。

【プーアール茶】
プーアール茶には熟茶と生茶があります。
一般にイメージされる方は熟茶、茶色い水色のお茶です。
円盤状や長方形、または小粒状に固められていることも。

生茶の方は中国や台湾の釜炒り製緑茶と同じように
殺菁その後揉捻されており緑茶と似たところもあります。
しかし、製茶後の経過年数や保存方法により
異なった香味に変化しているため
味や香りをひとくくりに表現することが難しいお茶です。

今回ラテ実験に用いたお茶は
熟茶:雲南潤仙茗茶業有限会社製。2017年4月製茶。
耕されてほくほくになった土の香り。
カフェオレに似た甘い味わいです。
生茶:雲南潤仙茗茶業有限会社製。2017年4月製茶。
乾燥茶葉からは藁や干し草のような香り。
お茶にすると釜炒り緑茶の香気とともに
上品な花香も僅かにあります。

【ラテ作りの注意点】
ポイントは、ミルク投入後に煮出しすぎないこと。
加熱時間が延びるとお茶の上品な花香や果物香より
藁、干し草、土っぽさ、埃っぽさばかりが目立ちました。
熟茶の場合は煮出すにつれて色が鈍い肉桂色に変化し
外観からして食欲をそそりません。
茶葉を5gより増やした場合も同様に
上品さが損なわれました。

プーアール茶は、熟茶も生茶も
品質、保存方法や保存期間によって様々です。
個々人の所有するプーアール茶の持つ香味により
ラテも大きく左右されるということも
念押しさせて頂きたく思います。

【お勧め度】☆☆☆☆☆
いろいろ小言のようなことを申しましたが
プーアール茶のラテは、正直大変美味です。
熟茶によくある、いい大地の香りと完熟した
糖度の高い果物様の香りが
ミルクと融合し、所謂ボディ(頬に丸く広がる感触、重量感)
という点では申し分ない仕上がりとなります。

生茶の方は、ラテにも干し草のような香りが携わりました。
こう書くとラテに不向きのように聞こえるかもしれませんが
製法上は釜炒りの緑茶と大部分が同じで
味わいのベースも緑茶であるため
煎茶や抹茶のラテを美味しく飲めるのと同じで
プーアール生茶のラテも違和感なく味わえます。
価値ある生茶は大変高額ですので
ラテにするのは躊躇されるところですが…

中国緑茶

【200ccの中国緑茶ラテのレシピ】
5gの茶葉を鍋に入れ90℃の湯100ccで2分程抽出。
ミルクを100cc追加して加熱。
ふつふつし始めたらすぐに火を消して、茶葉を濾す。
中国緑茶に備わる甘味を感じ取れるため
加糖は必須ではありません。

【中国緑茶】
用いたのは峨眉竹葉青。一芯一葉のお茶です。
湯温を下げて丁寧に淹れると甘くさっぱりして
心地よいくらいの細やかな刺々しさが舌先に残るお茶です。

【ラテ作りの注意点】
ラテにするにはあえて少し高温の湯で抽出しておき
ミルクを足してもバランスが取れるよう
濃い茶液にしておく方が良いです。

【お勧め度】☆☆☆☆☆
今回のラテ実験で、最も新鮮な驚きを得たお茶でした。
緑茶を飲みなれている日本人にとって
馴染みある香味であることに加え
釜炒り製であることより香り高くまた渋苦味が出にくい。
科学的根拠を求められるとくるしいところですが
台湾烏龍茶のラテよりも身体への浸透圧も感じました。
加糖しなくても味にまとまりが出るだけの密度は
これによると感じました。
プーアール茶同様高品質の中国緑茶は値が張りますが…

ラテまとめ

季節が廻り、日照時間が短くなってきました。
日光を浴びると脳内でセロトニンが分泌され
精神の安定や頭の回転のよさに繋がるとのこと。
逆に日照時間が短くなると、ひどい場合は
冬季うつ病と呼ばれる症状も引き起こしかねません。

牛乳やチーズなどの乳製品には、セロトニン生成に関わる成分が含まれています。
また乳製品は認知症予防に役立つ可能性があるという
研究結果が相次いでいるそうです。
さらに、牛乳乳製品を多く摂取する方は
ソフトドリンクを多く摂取する方より
睡眠の質が良いことも確認されています。

来る冬を快適に過ごす上でも
ラテが一役買えるかもしれません。

 

参考文献
「わかりやすい最新ミルクの研究 2016年度」 代表研究者 早稲田大学人間科学学術院 岡島 義