ラテ
~日本の緑茶と烏龍茶~

抹茶ラテやほうじ茶ラテが広く浸透して久しい昨今。
紅茶ではミルクティーやロイヤルミルクティーといった
アレンジがすっかり馴染んでいます。
お茶だけで飲んでも美味しい。かつミルクとも合う。
そういえば、他のお茶とミルクの相性はどうだろう…
という疑問が沸きました。
今回は、様々なお茶で試してみた
「お茶ラテ(ホット)」について綴ります。

どのお茶にも共通する大前提として
お茶単品で飲んでも美味しいお茶を用いてこそ
美味しいラテになることは強調したく思います。
好みじゃないから、劣化したから
ラテに加工するのではありません。

レシピは一例ですので参考程度にご覧ください。

煎茶・釜炒り茶・深蒸し茶

【200ccの煎茶or釜炒り茶or深蒸し茶ラテのレシピ】
5gの茶葉を鍋に入れ85℃の湯100ccで2分程度抽出。
ミルクを100cc追加して加熱。
ふつふつし始めたらすぐに火を消して茶葉を濾す。
加糖した方が味にまとまりが出ます。

【ラテ作りの注意点】
煎茶、釜炒り茶や深蒸し茶のラテやお菓子は
あまり一般的ではないように思います。
確かにこれらのお茶の葉は煮出すに向きませんでした。
いい風味は減少し渋苦味が増すことが原因です。
煎茶粉のラテやお菓子のレシピは時々見かけます。
粉ですと使いやすいのでしょう。
葉を煮出すことが適さないなら低温でゆっくり引き出し
ミルクを加えた後も加熱時間に気を付けると
飲みやすくなりました。
濃くしようとして茶葉を増やすと
加熱時間に気を付けても渋苦味が目立ちます。
200ccのラテなら5gが上限でした。

【お勧め度】☆☆☆
日本人には最も馴染みある緑茶の香りを土台に
いい苦味もほのかに感じることができます。
火香強めの仕上がりになっているお茶を用いると
香ばしさが加わるので飲みごたえが増します。

玉露

【200ccの玉露ラテのレシピ】
10gの茶葉を鍋に入れ、常温の水100ccで5分以上抽出。
ミルクを100cc追加して加熱。
ふつふつし始めたら煮出さず火を消して茶葉を濾す。
玉露のうま味甘味とミルクの甘さがあるため
加糖は必要ないと感じました。

【ラテ作りの注意点】
玉露はたっぷり茶葉を使い持ち味を体感したいお茶のため
他のお茶の倍の量の茶葉を入れました。
そこにお湯ではなく水を入れ
水出しでそのうま味甘味の芳醇さを強調させてから
ミルクを加えて加熱しました。
うま味・甘味成分が豊富なお茶ですので
煮出しても煎茶ほどに渋苦味は現れませんでした。

【お勧め度】☆
うま味・甘味成分が豊富なお茶ですので
煮出しても煎茶ほどに渋苦味は現れませんでした。
うま味と甘味の玉露にミルクの甘さ。
甘いものがほしい、でも糖質が気がかりという場合には
相応しいかと。
しかし、玉露の成分とミルクの相性は
良くないかもしれません。
玉露には、うま味を司るテアニン、
昆布やトマトにも含まれるうま味成分であるグルタミン酸、
酸味を司るアスパラギン酸などが
煎茶より多く含まれます。
それらがミルクの油分と融合した際に
良く作用していないと感じました。

日本の半発酵茶

【200ccの日本の半発酵茶ラテのレシピ】
5gの日本の茶葉を鍋に入れ
90℃以上の湯100ccで2分程抽出。
ミルクを100cc追加して加熱。
神経質になるほどではないけれど
あまりふつふつしすぎない方が良い。加糖はお好みで。

【日本の半発酵茶】
日本にも半発酵茶(烏龍茶)のお茶が増えていますが
この半発酵茶の特性は、やはり香り。
何の花か断定しにくくもフローラルな香りのお茶も魅力的。
また、蘭、くちなし、マスカット、白桃、マンゴー、穀物等々、
個性ある香りを携える半発酵茶もあります。

今のところ日本の半発酵茶では
うま味がない(少ない)場合とある場合
両方が作られています。
うま味があるのは煎茶などと同じ感覚で
半発酵茶も作るためです。
逆に施肥をあまり行わない栽培法を採る場合は
必然的にうま味のない半発酵茶となります。

香りがさっぱりした半発酵茶の場合は
うま味があると違和感を覚えます。
人が自然に培ってきた「さっぱりしたお茶の味のイメージ」と異なることが
理由のひとつでしょう。
また、うま味があるとせっかくの香気を感じにくくさせる
香り高いとうま味に集中できない、というふうに
悪く相互作用しているとも感じます。

【ラテ作りの注意点】
お茶として飲むには好みの香りを選べば良いのですが
ラテにする場合は香気の種類に配慮した方が良いです。
例えばくちなしや金木犀といった強い個性の香りの場合は
ミルクと相性が合わないように思います。
(感じ方に個人差はあると思います。)
そのため、ミルクと合う香気の半発酵茶であることが
大切かと。

また、爽やかな香気のお茶であれば
うま味のない(少ない)半発酵茶の方が
ラテには相応しいと感じます。

【お勧め度】☆☆☆☆
煎茶や玉露にはない香り高さがあるため
お茶とは思えないような固有の香気とミルクのハーモニーで
非日常的な時空間づくりに一役買います。
気分を変えたい時、お客様を招いて
ちょっと変わったおもてなしをしたい時にもお勧めです。