紅茶の美味しい喫茶店を
きっかけにⅡ

ジャンピングしないと紅茶は美味しく淹れられないのか?

以下はあくまで私たちの推測です。

ジャンピングという言葉を用いるかどうかはさておき
茶葉が上下に移動することの重要性を最初に説いたのは
紅茶を熱狂的に輸入した英国人と想定できます。
実際にジャンピングのことを指しているであろう内容を
英国人の紅茶についての記述に見つけることもできます。

英国人の紅茶のセレクターたちは
茶葉をテイスティングする際その保有する成分を
より感じ取る上で効率的な方法を採用していたでしょう。
茶葉の保有する成分を引き出そうとすると
熱湯やかなり高温の湯を用いるのが効率的と感じます。
そして、そのような紅茶の淹れ方をすると、結果として
「ポットの茶葉が上下によく動いた」のだろうと思います。
それがいつしか、「茶葉がよく上下に動くこと」が
「紅茶を美味しく淹れるための必須条件」という順序で
認識されたのではないかと思います。

また次に記載する実験結果からも
「ジャンピング=美味しくなる必須条件」ではない、ことを
確認できると思います。

沸かしたてのお湯でなければ紅茶は美味しく淹れられないのか?

水は温度が上がると酸素(空気)の含有量が減ります。
酸素の含有量が変わると香りの立ち方を変えてしまいます。
水質(硬度など)も変わってしまうため
沸かし過ぎは望ましくないとされます。
沸かしすぎると気の抜けた紅茶になってしまう、
美味しさを引き出せない…等々と一般に言われています。

(2020年12月追記↓
沸騰するとお湯の中の空気が抜ける、つまり
空気に含まれる二酸化炭素も抜けていきます。
水中で酸性を示す二酸化炭素が減少することにより
沸騰時間が長くなるほどお湯のpH値が上がります。
これによりお湯の味は変化し
お茶の味も連動して変わります。
↑追記部分終了)

これについては、自分たちだけでテイスティングすることに限界を感じました。
どうしても、沸かしたてのお湯での紅茶を飲む時は
「なるほど、紅茶らしい香りが出て味わいのバランスも取れている」と思いがち。
沸かしすぎたお湯での紅茶を飲む時は
「やはり、お湯が疲れているので、重量感ばかりがあって香りが弱い」
と、誘導されたように感じてしまいます。単純ですが…

そのため、内容を伏せ「紅茶の飲み比べにご協力ください」
とだけ言って呼びかけ
10名ほどのお客様にモニターになって頂きました。

モニタリングまでするからには、三種あった方が良いと感じ
下のような三種類の紅茶をご提供しました。
① 80℃の湯で淹れたもの
② 100℃になると同時に火を止めた湯で淹れたもの
(沸かしたての湯)
③ 100℃になってからも20分沸かし続けた湯で淹れたもの
(沸かしすぎた湯)
いずれも、茶葉量、湯量、抽出時間は同じです。(続く)

 

参考文献
「紅茶 おいしいたて方」 髙野健次 著
「ツウになる!紅茶の基本」 磯淵猛 著
「紅茶 味わいの「こつ」」 
川崎武志 中野地清香 水野学 著