水道水と浄水

水について細々と綴っていたところ、
先日あるお客様から、小学生のお子さんの自由研究で
異なる水によるお茶の香味について調べたいので
協力してほしいと言って頂きました。
光栄なので協力させてもらう中でふと気が付いたこと。
水道水と浄水の違いを考察していなかった・・・!
これは盲点でした。
今回は、店頭の蛇口の水道水と
それを浄水器で浄水した水を飲み、比較しました。

浄水器

店頭では、BRITA(ブリタ)の浄水器から
MAXTRA+(マクストラプラス)を使用しています。
持ち運び可能で遊離残留塩素を除去することは
大きな選択理由です。
入手のし易さ、導入費用や維持費のリーゾナブルさも
重視しました。

この浄水器の対象項目は…
総トリハロメタン:
クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4種類の化合物の通称。
2-MBI(かび臭):
2-メチルイソボルネオールの略称。水道水のカビ臭原因物質のひとつ。
CAT:
2-クロロ-4、6-ビス(エチルアミノ)、-S-トリアジンの別名で農薬の一種。
テトラクロロエチレン:
ドライクリーニング洗浄剤などに使用される。中枢神経障害、肝臓・腎臓障害などの影響があると言われる。
1.1.1-トリクロロエタン:
金属・機械などの脱脂洗浄剤に使用される。中枢神経障害、肝臓・腎臓障害などの影響があると言われる。
クロロホルム:
総トリハロメタン構成物質のひとつ。発がん性を含む有害性の疑いがあると言われる。
ブロモジクロロメタン:
総トリハロメタン構成物質のひとつ。
ジブロモクロロメタン:
総トリハロメタン構成物質のひとつ。発がん性を含む有害性の疑いがあると言われる。
ブロモホルム:
総トリハロメタン構成物質のひとつ。発がん性を含む有害性の疑いがあると言われる。
遊離残留塩素:
上水道の水に殺菌用として添加される次亜塩素酸ナトリウムが形態を変えたもの。
溶解性鉛:
水道配管に使用される鉛管の鉛成分が水に溶け込んだもの。
トリクロロエチレン:
金属・機械などの脱脂洗浄剤に使用される。中枢神経障害、肝臓・腎臓障害などの影響があると言われる。

以上12の成分です。

お茶を淹れると

水道水とその浄水を同じ材質の二つのボーフラで沸かし
煎茶、日本の半発酵茶、日本の紅茶を淹れ比較しました。
体調やその日の水のコンディション等に左右されぬよう
日を開けて2回、同じことをしました。

煎茶はいつも通り、普通蒸しで火香の弱い山のお茶です。
香りは大きく異なりませんが水道水の方がやや強い。
1煎目の味も、水道水の方が味わい全体が濃く感じます。
浄水はすっきり、言わば淡く感じます。 言い換えれば
浄水は、まとまりがあるとか口当たり円やかとも言えます。
2煎目、水道水は僅かに金気(かなけ)を感じ、
喉元を過ぎた後奥の方にじわっと堅い触感が広がります。
カルキ臭とは異なり、金属味や鉄っぽさに近いものでした。
浄水の方は、1煎目同様淡いのですが
水道水のように金気が主張しないため
お茶の味を感じ取ることができます。

次に日本の半発酵茶。
香りは煎茶に同じで、水道水の方がより強い。
口に含むと水道水の方が重く感じます。
染み込む力があるような重みがあり、濃くも感じます。
浄水は、やはり比較的淡め。
とはいえ、淡さの中にもお茶の甘味があります。
2煎目は差が広がりました。
水道水は甘味が弱くなり後味に鉄っぽさがあるのに対し
浄水は相変わらず淡いですが水道水より甘味があります。

最後に日本の紅茶。
両者の香りが別物になりました。
水道水で淹れたお茶はもわっとした粘性のある香り。
浄水の方はすっと線の通った、柑橘系で少々酸味もある
香りとなりました。
香りと味の印象は一致し、
水道水の方は味が濃く、ぼったりした口当たりです。
煎茶や半発酵茶にあった金気や鉄っぽさは
紅茶においては感じられません。
浄水の方は、口に含み、喉元を通り、余韻となるまで
全てが涼やかな印象でした。

これらを纏めると…
水道水で淹れたお茶の香味が濃いのは、お茶の香味がしっかり出ているためというよりも
水に含まれる成分も含めた様々な構成要素が
混然一体となっていることによる濃さだと推測できます。
1煎目は茶液の力強さゆえに水とのバランスが取れ
香味の濃さと感じられますが
2煎目には、後味の金属っぽさとなって表面に出ます。

浄水で淹れた場合は比較的淡く感じます。
浄化された水の口当たりが円やかであるため
お茶の味の要素を包み込み感じにくくさせている
可能性があります。
口当たりの円みを求める場合や
煎を何回も重ねて長く香味を楽しみたい場合は
比較的浄水が相応しいということもわかってきました。

水道水に対して少々批判的な表現をしてきましたが
日本の水道水は安全と信じています。
トリハロメタン…などというと神経質になりがちですが
健康のためを思うなら
水道水を避けるより先にすべき生活改善があるでしょうし。

水道水でも深蒸し煎茶、深炒りほうじ茶や煮出して飲む番茶のように
お茶自体の香味や個性が強いお茶なら
浄水同様に感じられるはず…
引き続き実験します。