水出し茶

身体が水出し茶を求める頃となりました。
喉の渇きを本当に止めるのは
やはり熱いお茶やお白湯だと思います。
とはいえ、水分補給にグビグビしたい時には
冷蔵庫の水出し茶も必要だと感じます。
今回は、時節柄水出し茶のことを記します。
名水はまた後日。

水出し茶の淹れ方

経験上良いと感じて採用している淹れ方です。
みなさまお好みの濃淡があるかと思いますので
あくまで参考にしてください。

玉露の場合
茶葉10gに対して500mlの常温の水、3~4時間抽出

上記のようにすると、お湯で抽出した玉露と
同様の濃厚さがあります。
玉露をあっさりと抽出することも可能ですが
玉露というお茶が本来、濃厚に楽しむことを念頭に置いて作られるものであるため
やはりそのように淹れることが適していると感じます。
もっとあっさり清涼感のある香味が良ければ
下の煎茶はいかがでしょうか。

煎茶の場合
茶葉10gに対して1ℓの常温の水、8~10時間抽出

よく「一晩冷蔵庫に置いておく」といった
インストラクションを目にします。
一晩に相当するのが8~10時間と考えています。
水出し用と書かれている茶葉は早く抽出できるよう
細かくなっている場合が多いです。
その場合、抽出時間は短縮できます。

球形烏龍茶やブロークンではない紅茶の場合
茶葉7~8gに対して1ℓの常温の水、48時間抽出

球形の茶葉は特に、開くのに時間を要するため
丸二日ほど置いておくことが望まれます。

どのお茶にも共通して言えることは
1. 必ず冷蔵庫に入れて保管する。
2. 濾す前に、容器をよく撹拌して濃さを均一にする。
3. もし、濾してから「淡い」と感じたら
濾し終わった茶殻をスプーン等でぎゅっと押して絞り
その茶液を足して濃さを増すという手法もあります。

また、時間短縮したい場合は
最初に熱いお湯を少し注いで茶葉を開かせ
間髪を入れず水を注いで全体量にします。
最初に注ぐお湯の量は茶葉ひたひた程度。
お湯と水を馴染ませた後に濾してください。
自分好みにするための湯量やタイミングさえわかれば
最も素早くできる方法です。

水出し茶の成分

水出しはカフェインレスなので安心と言われたりします。
お湯の場合よりも、成分がゆっくりと浸出されるためです。
湯温が高いほど成分は早く溶け出しますので
水出しとお湯で抽出したお茶とを同時間置いて比較すると
当然、お湯の方が濃くなり、カフェイン割合も高くなります。
とはいえ、たとえ水温7~8℃の水で2時間抽出しても
カフェインの20~50%は溶出しているという
実験結果もあります。

また、お茶の甘味に関連するアミノ酸(テアニン)は
低温でも溶出しやすい性質があるため、
水出し茶はお湯の場合よりも甘味を感じやすくなります。
これが、水出し茶は失敗しにくいと言われる所以です。

水出し茶のアレンジ

例えば、水出しした玉露や煎茶500ml程度に対して
ミントの葉を1~2枚入れる。
ミントが入っていると感知できるかできないか・・・
ぎりぎりあたりの分量も、上品で良いと思います。
好みによっては日本のハーブ、山椒の葉でも。

また、もしも長く抽出し過ぎて濃くなってしまったら
炭酸水で薄めるのも手だと思います。
炭酸水でお茶を割るという手法は
烏龍茶、紅茶、ほうじ茶といった
香り高いお茶であるほど適していると経験上感じています。
煎茶や玉露の炭酸割りをする場合は、特に
ミント等で香り付けした方が
炭酸水との相性が良くなります。

暑いというだけでも疲れの原因になりがち。
水分補給だけでなく香りや触感でも心地よさを得て
少しでも快適に過ごし、秋を迎えられますように。

 

参考文献
「茶主要成分の茶浸出液への溶出特性」 
独立行政法人農業技術研究機構 野菜茶業研究所