名水Ⅲ 銘水わかみどり

銘水わかみどりは、石川県かほく市若緑にある湧水です。
石川県の名水を検索していて見つけたもののひとつです。

周辺環境

こちらの特筆すべき点は周辺環境の清々しさ。
県道226号線から車一台がギリギリ通れるくらいの幅で
舗装しているかしていないか…微妙な程度の道を
森に向かって折れると現れます。
標高は100mもなく、なだらかな平野部にあります。
周囲は見渡す限り緑。
水田と、その向こうにトトロが出そうな森も。
空高く晴れた日は最高ですが雨模様の日は不向きかも。
また風の強い日は風と森がオーケストラのように音をたて
360度音響設備が設置されたようになることでしょう。

水汲み場や水量

簡単な木組みの屋根が設置されるだけで壁はありません。
湿度を感じさせず、かえって清潔感を醸しているようです。
水は屋根の下と屋根の外側の二か所から流れ出ており
両者の水量が異なりました。
これは天候に左右されるでしょうから
日によって変化すると思われます。
沸かしてから冷まし、その水だけ飲んでみると
水量の多い方が無臭なのに対して
少ない方はやや金気を帯びていました。

水量は、水道を適度にひねったくらいで
決して多くはないのですがストレスにならず汲めます。
心地よい環境でほのぼのしていると
いつの間にかポリタンクがたまっています。

硬度

設置されている成分表を見ると
水質検査は概ね、年一回行われています。
こちらの硬度の低さも群を抜いており、10強で推移。
県水や市水が20程度なので
軟水の中でも大変柔らかいという点は
あまり変わらないと言えますが
いつも飲んでいる水道水(県水)の浄水と比べてみました。

お茶を淹れると

煎茶、烏龍茶、紅茶を淹れてみると
どれも、水道水よりわかみどりの方が香り高くなりました。
香りの強弱という意味で強いだけでなく
香りが軽やかに立ち上り
鼻の付け根当たりまですーっと感じられるものでした。
水道水の方の香りは控えめで
かつ鼻の低いところから口元で感じられました。

味わいは、大きく差が出るわけではないのですが
わかみどりの方が、口に含んだ時に弧を描くように
まとまりを保ちながらお茶が広がっていくようです。
ふるるんとしたゼリーが舌に乗っているような感覚。
一方、水道水の方は口の中でより自由に広がり
舌の上にもぴったりと乗っていきます。
そのせいか、わかみどりで淹れたお茶の方がどれも
味わいにもまろみを感じさせました。
これは一見良いことのように見えますが
良い意味での渋味や猛々しさも中立に柔和にします。

煎茶の猛々しさや良い苦味、また紅茶の渋味などを
大切にしたい時には、あまり適さないように思いました。
また、同じことは以前にご紹介した遣水観音霊水にも
当てはまるのではないかと思います。

名水も特性を知り、シーンに応じて用いると
より楽しみが増すようにと思います。