水について考える 名水Ⅰ

名水について、何回かに分けて記します。

名水百選

日本に、名水百選なるものがあります。
1985年(S60年)当時の環境庁によって選定されました。
1985年と言えば
ビデオカメラやスーパーマリオブラザーズが発売され
青函トンネルや大鳴門橋が開通し
おニャン子クラブを世に出した
夕やけニャンニャンという番組が始まった年。
1986年から1991年までのバブル期を目前としていた頃。
上り調子にも見えますが
その一方でその当時の水は
一般においしくないと言われていたこともあり
名水の選定は注目されました。
(私の記憶にはありませんが…)

そして、それから23年の後、2008年(H20年)にも
環境省から平成の名水百選が発表されました。
これは、昭和の選定から20年以上も経過していることや
特に、保全活動が行き届いているところに
スポットを当てる思いもあり、選定されたものです。

名水に選ばれたくらいなので
選ばれていない水より美味しいと思いそうなものですが
選定の基準はどちらもほぼ同じで、下のようなものです。
まず、必須条件として
水質・水量
周辺環境(景観、周囲の生態系や保全のための配慮)
親水性(水への近づきやすさや安全性)
保全活動(地域住民による保全活動)

また、必須条件ではありませんが
故事来歴や希少性に特異性なども勘案されました。

これを見ていると 
水と、人やその他生き物との関係が重視されていますし
その水がこれからも継続して保全され親しまれるようにとの
思いが込められていることが感じ取れます。

そもそも、名水に選ばれたといっても
必ずしも飲用できるという意味ではないとのこと。
とはいえ、「飲用できません」といった注意書きでもない限り
その場では両手ですくって飲んでしまうのが
人情だと思いますが…

ちなみに上記の名水百選は市町村が推薦したものでした。
1985年の方は、全国から784カ所も推薦があり
2008年の方は、各都道府県から4カ所推薦とされたため
162カ所の推薦があり、その中から選考されました。

ほかにも

とはいえ、日本の名水の数たるや200程度ではなく
全国各地には、一般に名の知れる湧水・井戸水・自噴水や渓流水などが
3000カ所以上在る、という報告もあります。

石川県には、昭和の百選に3カ所、平成の百選にも4カ所選定されていますが
それだけではなくて、他にも数々の名水があります。
弊店の周辺を見渡しても
水に携わる人々の間で実際に用いられている水や
私たちが汲んで持ち帰り、お茶を淹れてみて
相性が良いと感じた水があるため
僅かですがご紹介します。(続く)

 

参考文献
「地下水と水循環の科学」 高村 弘毅