肥料について~お茶作りではⅢ~

熟成を期待してお茶を保存する場合 肥料(アミノ酸の元)がない/少ないほうが 相応しい

お茶の保存する場合は
「高温多湿を避けて冷暗所に保存」といった
お茶の状態が変わらないように保存することの方が
馴染みがあることと思います。

一方、ここでお話ししたいのは
熟成を目的とした保存についてです。
特に、半発酵茶や発酵茶においては
状態の良い変化を期待しつつ
数年から何十年も
お茶を適切に保存できることが知られています。
この、良い変化のことを通常、熟成(追熟、後熟とも)
と呼んでいます。
ワインなどと同じ感覚です。
また、このように寝かせたお茶を商品化したものが
台湾では老茶や陳年茶として珍重されています。
さらに、不発酵茶である煎茶においても
相応しいお茶を相応しい方法で保存すれば
半発酵茶や発酵茶同様に、熟成、追熟は可能なことです。

では、相応しいお茶はどういうものでしょうか。
不発酵茶から発酵茶まで共通して言えることは
無施肥の、或いは無施肥に近いお茶の方が
熟成がうまく起こりやすいということです。
どういうことかというと
総じて、肥料を与えた場合は
それよってアミノ酸が増加しています。
アミノ酸は、熟成を意図して長期間保存した場合
熟成というよりも、劣化の原因となる傾向があります。
(あくまで、熟成を意図した保存のことです。
品質保持のため、高温多湿を避け光や空気を遮断して
保存することとは異なりますのでご注意ください。)
お茶以外で例えると、このような話を聞きました。
肥料を与えて栽培した白菜と、与えていない白菜。
これらを同じ条件で何日にも渡って放置した場合
前者は腐敗していきましたが
後者は乾燥してカラカラになるのみだった、と。

熟成に相応しい保存方法とは・・・?というと
これこそが他よりも相応しく絶対だと言える方法を
私たちはまだ、見出していません。
お茶は荒茶(台湾茶では毛茶)のような半製品が良いのか
或いは仕上げされたお茶の方が良いのか?
窒素充填などの無酸素状態が良いのか
或いは酸素が少量含まれる方が良いのか?
常温保存の中でも何度程度が最も望ましいのか?
様々な説があります。私たちも
条件を変えて複数のお茶を保存しつつ
変化を確認しているところです。(続く)