近年の世界的抹茶需要の背景Ⅱ

抹茶は、ご存じのとおり、緑茶のひとつです。
抹茶を作るには、煎茶のようなお茶を作ってそれを粉々にしていると
認識されていることがありますが、そうではありません。
抹茶を作るためには、まず、碾茶(てんちゃ)というお茶を作ります。
碾茶の荒茶は、茶の葉が乾燥した形そのままであり
その後、石臼で挽くためにチップ状に裁断されます。
青海苔みたいで、青海苔よりはやや大きいポーションだと
思っていただけると良いかと思います。
抹茶を作るには、一般的に複数年に渡って摘採・製茶された碾茶をブレンドし
それから石臼などを用いて粉に粉砕して完成されます。
例えば、2023年に収穫した葉でできた碾茶と
2024年に収穫した葉でできた碾茶をブレンドします。
生産者も、品種も様々含まれます。
様々な原料をブレンドすることで、その価格・色・香り・味を調えています。
逆に言えば、昨年や一昨年の碾茶を保管しておくことが大切です。
そのストックがなければ次の年に良い抹茶を作ることができなくなります。
2024年度半ばから年度末にかけて
この保管が不可能になるほどの抹茶需要がありました。
京都においては、2023年、2024年の葉が
2024年末から2025年初めにかけて底をつきました。
2025年春の京都茶市場はそのような状況から始まりました。
2025年5月から抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の
京都茶市場での取引が始まりました。
今年の仕入価格の平均単価は
手摘みの葉で前年比2倍、機械刈りの葉で2.7倍。
過去に例を見ない価格高騰でした。
これにより、宇治抹茶を扱うどの会社や店舗も
それに準ずる値上げを一斉に行わざるを得なくなりました。
なぜこれほどの高騰になってしまったのか…?
需要が高まりすぎて確保や囲い込みへの意識が強まりすぎたのでしょうけれども
それでもちょっとひどいですよね。(私が言ってはだめなのですが)
ある京都の問屋さんは
2024年の総利益と同じだけの仕入をしたと言ってらっしゃいました。
このブーム、いつまで続くのか
どのような形で落ち着きを見せるのか…?
次のブームと期待され、すでにヨーロッパでも
広まり始めているほうじ茶は、どのように伸びていくのか…?
ただでさえ、収穫された茶葉が抹茶を作るための原料にまわされ
他のお茶の原料が減少しているというのに…
今回は、觀壽が扱う宇治抹茶を取り巻く状況を記しました。
碾茶は福岡、愛知、静岡などの他地域でも作られています。
宇治では茶市場での取引がさかんですが
地域によっては、相対取引という別手法の場合もあります。
そのため地域によっては価格の高騰が緩やかな場合もあります。
とはいえ、日本全体で抹茶価格が上がっている気風にありますので
この状況はしばらく続くことでしょう。
觀壽では、お茶を取り巻く情勢がどのようなものになろうとも
香り高く、余韻の美しいお茶を
茶種を選り好みせず、そろえ続けます。