お茶を淹れる道具の話Ⅷ
~茶海・聞香杯~

台湾のガイドブックでお茶関連のページを開くと
必ずと言っていいほど出てくる「茶芸館」。
台湾茶を、文化的しつらえの中で美しい作法を習いながら
楽しむことができる空間です。
往々にしてナッツやドライフルーツなど
台湾ならではのお茶菓子も添えられ
女子はテンション上がるところ。
そこで提供される台湾茶は、多少の違いはあれども
このような道具類で提供されることと思います。
・炉
・土瓶または炉にかけて湯を沸かす何らかの道具
(上の二つに代わって電気ケトルや保温ポットで提供される場合もあります)
・茶壺/チャフウ(急須)
・茶海
・聞香杯
・茶杯(茶碗)
その他、茶を入れておく茶缶や
茶をすくって茶壺に入れる茶則、また
茶托や茶巾など掲げればいろいろありますが…
中国茶に詳しい方でも、もしかすると
「茶海」「聞香杯」はなじみがないかもしれません。
「茶海」と「聞香杯」は台湾茶独特の道具なのです。
これから何回かに渡って
この二つの道具、台湾茶芸の背景、台湾茶芸の基礎となる工夫茶などについて綴っていきます。
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茶海って?
茶海とは、茶壺(急須)でお茶を抽出する際に
いったん注ぎ入れるための道具、要はピッチャーです。
これにより茶液のむらがなくなます。
そのため、複数の杯に注ぎ分ける際にも
皆に同じ濃さのお茶を提供することができます。
このような性質から衆生平等という意味を込めて
公道杯とも呼ばれます。
(そのように呼んでいる人を見たことはありませんが…)
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聞香杯って?
聞香杯とはお茶の香りを聞く(嗅ぐ)ための細長い杯です。
茶液を一度注ぎ入れ、それを飲むための杯に移し
空になったところで聞香杯を鼻にあて
数回深呼吸すると香りを感じることができます。
聞香杯自体の温度は冷えていきますので
それに従い変化する香りを感じられるのです。
茶液の入った杯からも香りはするのですが
それは湯気とともに立ち昇る、湯温が高い時の香り。
聞香杯のような香りの変化はありません。
聞香杯を使うと、杯からは聞き取れない
そのお茶の秘めた香りを知れるのです。
さらに、聞香杯で香りを聞き、お茶を飲み
その後再度聞香杯で香りを聞くと
最初に聞香杯で感じたのとは異なる香りを感じることも。
このように聞香杯は、一杯のお茶の楽しみ方に
広がりをもたらしてくれる道具です。
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ちなみに
道具が多いと華やかですが、実際、手数も増えます。
手数を増やしたくない、すっきりした茶席を好む方の中には
聞香杯を省略する方もおられます。
私どもは一年間の台湾生活中に
台湾茶芸の大会を何度も観に行きましたが
聞香杯を用いない茶席も少なくありませんでした。
聞香杯と飲むための杯両方の機能を兼ね備えるような形の
杯ですと、飲みほした後に香りを聞くこともできます。
ほんの40年ほど前に完成したばかりの茶芸も
このように刻々と変化しています。
ここ数年現地に出向けていませんが、近年も何か
変化しているかもしれません。うずうずします。
~続く~