試飲の方法Ⅱ~用いる水・香味の確認①~

水は、水道水を浄水したものです。
うまく引き出す沸き水を汲んだり取り寄せたり・・・
といったことは行っていません。
輪島市の時国家付近に、お茶を淹れるのに良い湧き水があることは確認しており
それを用いるかどうか、検討もしましたが
結局、水道水を用いることにしました。
特に、地元の方が自宅でお淹れになった際に
同じ香味を表現できることを優先したいためです。

香味確認の方法

どのお茶も共通して確認することは
1. 煎が利く
(一度の茶葉で複数回にわたって淹れられる)
2. 「香り」と「余韻」(後味)があり、美しい 
3. 味わいバランスが良い
この三点です。

煎が利く

煎が利く
つまり一煎目だけでなく二煎目、三煎目・・・と淹れても
美味しく飲めるかどうか、という観点は
急須を用いる試飲方法で確認しています。

日本の玉露や煎茶といった
蒸し製で、萎凋(発酵)もされていないお茶なら5煎
日本のお茶でも、釜炒り製のものや
萎凋(発酵)を施した半発酵茶や、紅茶、
また台湾茶の場合は7~8煎重ねても
美味しく味わえるかを確認しています。

煎を重ねると香味は変化するものですが
その変化の仕方が、「薄くなる」、「気が抜ける」
「苦くなる」といったものではなく
「移ろう」、「淡くなる」というものであること。
それがとても大切と考えています。

煎をそんなに重ねなくても
2~3煎飲めれば良いという視点もあると思いますが
回数をもっと重ねられるならば
相対的に、一回あたりに使用する茶葉を減らすことができます。
たかがお茶ですが、徹底的なエコは必須と考えます。
徹底的なエコを実践するためにも
茶葉量に気を配ることは意義深いことです。

何煎も重ねればそれだけ抽出する手間が増えます。
今時、暇な人などいません。そのため
時短は美徳のように言われたりしますが
煎を重ねる時間を手間と感じるのではなく
それもひと時のお茶タイムとして
良しとすることができれば理想的です。

「香り」と「余韻」(後味)があり、美しい

昨今、お茶らしい香りに代わって
火香という、製茶の最後の段階で施す乾燥工程における
火の香りでコーティングされたお茶もあります。
煎茶でも紅茶でも、火香の香ばしさではなく
煎茶なら煎茶らしい、紅茶なら紅茶の・・・と
そのお茶の香りがすることが重要と考えます。

品種によって個性豊かな香りがするものも多くあります。
マスカット、桃、桜葉、ミルク、バニラなど・・・
品種香が個性的なお茶については
それが表されているお茶を選んでいます。

さらに、お茶は土に根を張るチャノキの葉ですので
その土地の香りを醸すものです。
肥料が少なめ或いは無施肥の状態で栽培されているほうが
よく土地の香気を呈します。
その土地のお茶でしか得られない香気を備えていると
お茶の魅力は増します。

香気には
最初に感じる香り(ワインで言うところのオルソネーザル)と
飲んだ後の香り(レトロネーザル)、余韻があります。
それぞれの確認はアロマホイールやフレーバーホイールを用いて行います。
溢れるように単語が見つかる、豊かな香りや余韻のお茶を求めるためです。
(続く)