お茶請けと台湾茶

美味しいお茶があれば、お茶請けは
必ずしもなくてかまわないのですが、中には
体質的にお茶のみでは疲れる方もおられるでしょうし
口寂しいことも。
お茶の味を消さず、引き立て合うような
お茶請けについて少しご提案します。

文山包種・清香系烏龍茶

文山包種茶は、発酵(本当は酸化ですが)させた台湾茶の中でも、その度合いが低いため
その意味では煎茶などの日本茶に近いもの。
上質なものほど、すぐそこにジャスミンの花が
広がっているかのような香気を持っています。
清香系烏龍茶は発酵度を低めにし最後の仕上げ乾燥を軽くしたもの。
文山包種茶のように明確に何の花の香がするというよりは
清涼感のあるフローラルさがあり口当たりも爽快です。
また清香系の中でも、発酵度と焙煎度を前者より少し上げ
安定感と厚みを感じさせる烏龍茶もあります。

このようなお茶には、お茶の香気や、
お茶が喉元を過ぎた後にも残り漂う甘味を
尊重し引き立てられるお茶請けを。例えば
道明寺粉で作る桜餅やおはぎのように
塩気が少々含まれる甘味
フレッシュな状態の七草やほのかに醤油風味のある海苔
小さく薄めに焼いたお煎餅や麩煎餅などはいかがでしょうか。

重発酵重焙煎の烏龍茶や鉄観音

清香系とは対照的な濃香系の烏龍茶。
伝統製法の凍頂烏龍茶に代表されるように
重発酵重焙煎の仕上がりにした場合は
花香というより果実香があり安定感と奥行きがあります。
鉄観音も重発酵重焙煎のお茶で
ドライフルーツのような果実香と
重みのあるコクと甘味があります。

この場合は、甘味、塩味、酸味といった味を明確に持ち
噛みごたえのあるお茶請けはいかがでしょうか。
干柿のような熟成した果実で作ったドライフルーツの甘味
ハードチーズやセミハードチーズの塩味や酸味
淡く味付けされた木の実系の塩味
小豆の甘味、チョコレートの甘味や酸味は
お茶の個性とうまく溶け合うと思います。

白毫烏龍茶や紅玉紅茶

白毫烏龍茶は軽やかで洗練された蜜のような円みある香り
様々な果実が融合したようなコクのある味わいがあり
発酵度、味わいの傾向ともに紅茶に近いもの。
台湾の紅玉紅茶は渋味を前提とせず、
果汁のようなほのかな甘みと芳醇さに
ハッカやシナモンとも言われる爽快な香気を
味わいたいお茶。

そのため、甘さは控えめに、かつコクのあるものとして
砂糖を控えたパウンドケーキや
さっぱりしたジャムを添えたスコーンなど。

今回は、これまでの経験に基づいてご提案しましたが
お茶を飲む際には決まりなどなく
ひとりひとりが好みのお茶請けを見つけて
幸せな時間を過ごせることが、何よりも大切だと感じます。