手摘み・手揉みの茶の価格

お茶の価格も幅広いもの。
玉露なら100g三千円程、煎茶なら100g千円までが
目にしやすい馴染みある価格帯かもしれませんが
中には、100gで一万円以上にもなる
手摘み・手揉みの玉露や煎茶もあります。
なぜ同じお茶でもここまで異なるのか
今回は手摘み・手揉みのお茶について少しご紹介します。

手摘み・手揉み

手摘みの摘み子さんが
一時間に摘み採れる葉の重量はおよそ1~2kg。
休息も必要になるため一日働いても10㎏台の摘採量。
摘まれた生葉を蒸し酵素の働きを止めた後は
また、人の手で揉み、形を整えていきます。
一人が一度に手揉みできるのは生葉にして3~4㎏
これを、炭で温めた焙炉(ほいろ)という台の上に乗せ
5時間程かけて仕上げます。
生葉には水分が含まれますが、できあがったお茶は
乾燥した状態なので重さは約1/5に減少。
一人の揉み手から一度に作られるお茶の量は
平均して、たったの700g前後です。

機械を用いると

これが、鋏(はさみ)で刈ると摘採できる量は10倍に
二人で支えながら刈る機械を用いると100倍以上
また、乗用型機械ではそれ以上の摘採量になります。
製茶機械には一度に製茶できる量が35㎏のものから
(35㎏の機械は現在ほとんど見かけませんが)
60㎏、120㎏、240㎏という大きなものまで。
こう考えると、手で摘み、手で揉むということは
機械摘み、機械製茶の場合とは比較できないほど
少しずつ、丁寧に作られています。

手摘み・手揉みのお茶

手摘み・手揉みだと一枚一枚の葉の形が残されたままになります。
そのため、針や髪の毛のようによられた葉に
お湯を注ぎ、再び葉が開かれたときにも
そのままの形を見ることができ、目にも楽しいお茶です。
また、手揉みでは、お茶本来の持つ香りを
閉じ込めるように揉み込まれるため、
手揉みだからこそ得られる芳醇な香りが溢れ出ます。

終わりに

機械より手摘み、手揉みのほうが良いと思っているのではなく
また、価格の高いお茶でも我慢してくださいと言いたいのでもなく。
ただ、今や大変少数派となった手によるお茶づくりは
途絶えることなく受け継がれるべきですし
高額で手が出ないように感じるお茶であっても
その価格には相応の理由があるということをあらためてお伝えしました。

実際、淹れ方など工夫すれば多くの人が経済的にそのようなお茶を楽しめます。
お茶を販売するだけではなく味わい方、淹れ方までお伝えし
多くの方がお茶を介してゆとりある日々を過ごされることが、究極の目的です。