お茶を淹れる道具の話Ⅵ
   ~宝瓶~

今回は、宝瓶という茶器について。
これもお茶を淹れる道具です。
下のような、お碗に注ぎ口がついたようなものです。

片口に蓋がついたようなもの、とも言えます。
これは玉露とともに考案された茶器と言われ
そうだとすればここ200年程の歴史を持つ
日本で考案された茶器です。
急須の原型は唐の時代の單枝壺まで遡ることを思うと
宝瓶は大変目新しいものです。

具体的に

玉露とともに考案されたのは、おそらく
玉露は湯温を低くして淹れるものだからでしょう。
湯温を下げたい時には蓋が広く開いている方が良い。
また、湯温を低くして淹れるということは
素手で触れても熱くない。
そのため取っ手も要らず、素手で側面に触れて
抽出するような形状です。

逆に言えば、このように取っ手がない茶器は
高温の湯を注いでしまうと素手で持ち上げにくい。
必然的に、高温で淹れたいお茶には
あまり適していないことになります。

茶漉し穴があるものが多い一方で
茶漉し穴はなく、蓋のずらし具合により葉をせきとめ
注がれる茶量を調整する場合もあります。

具体的に

私どもは、宝瓶は美しいだけでなく
実用的で汎用性の高い茶器だと考えるようになりました。
そのため、作家さんに依頼して
美しく扱いやすい宝瓶を作っていただきました。

作家さんに依頼した磁器の宝瓶の特徴は下の通りです。

磁器にすることで匂い移りを防ぎ茶種の汎用性を広くした。
160cc程度の総容量とし、日常的に使いやすくした。
底を広くして茶葉が広がりやすいようにした。
注ぎやすいように傾斜をつけた。
茶漉し穴を設けず、蓋のずらし具合によって
注ぐ量を調整できるようにした。これにより
お茶の濃淡を自身で加減できる。
烏龍茶や紅茶など高温で淹れるお茶でも淹れやすいよう
手に取る部分の立ち上がりを高くした。
底部にかけて重量感を出し安定感を出した。

写真は下の通りです。

お茶を淹れ、茶液を注ぎきった後は下のようになります。

使い込むほどに、完成度の高さに気付かされます。
一つだけ茶器を求めようとするとき
このような磁器の宝瓶は最適かもしれません。
どのようなお茶も淹れやすいだけでなく
お手入れも気を張らずにできます。(洗いやすい…)
この宝瓶についてはお気軽に
TEL:07039820463までお問合せください。